2023年06月22日

🎧公式Spotifyプレイリスト全曲解説❗今回は〈シューマン『クライスレリアーナ』〉です。

ピアノの悪魔と恋する剣士①

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第3番「ゆっくりと、とても感情を込めて」より

Track.16-17 : シューマン『クライスレリアーナ』内田光子

E.T.A.ホフマンという作家(兼画家、兼作曲家)の文学作品に登場する「楽長クライスラー」という人物に着想を得て作曲されました。

作曲者のロベルト・シューマンは変わった作曲家で、ピアノや音楽理論の教育は受けていますが、作曲については正規の教育を受けていません。一方で文学に精通しており、詩を書いたり、文学的な音楽評論を書いています。こうしたことが、彼の独特な音楽語法の素になっているのかもしれません。

またE.T.A.ホフマンという人もなかなか一筋縄ではいかない人で、法律家として働いていたけど人妻と付き合っていたのが問題となり左遷。その先でまた法律家として働くかたわらオペラを書き……と思えば、風刺画を描いて偉い軍人を怒らせまた左遷。さらにある時は、盗難に遭って金に困ったので劇場の音楽指揮者に就任など、「一体何なんだコイツは!」という人です。

『クライスレリアーナ』という音楽には、そういう「変人と変人のクロスオーバー」といった趣きがあります。

演奏は内田光子。ショパン・コンクール2位、ソロと伴奏で1度ずつグラミー賞を獲得というご経歴もさることながら、言葉や佇まいから滲み出る「天才」感がすごい。独特の感性が感じられる演奏で、この方も、著者が大好きなピアニストの一人です。

ピティナによる楽曲解説
Schumann, Robert:Kreisleriana Op.16


シューマン:クライスレリアーナ、謝肉祭 / 内田光子

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